2003年の山本太郎

山本氏の主演映画のパブリシティということで映画、某大手タバコ企業が関連するカルチャー雑誌であるフィルト(Filt)の依頼で撮影することに。

私の誕生日が撮影だったので印象深く覚えている…。

そこまで予備知識もなかったが、早速今回の主演映画『夜を賭けて』を観てから臨むことにする。良い作品、良い演技。演出も演技も荒削りなところ否めないが、熱量あり。伝えたいことが映画でしかできない形で伝わってくる。オススメ映画です。

ということで当日の撮影へ。

渋谷丸山町のミニシアターでインタビューとポートレート撮影という流れ。

事前の打ち合わせはあまり細かくない。細かく無いということは撮影の自由度が高いということなので私たちのモチベーションは上がる。その代わり出演者側のイメージコントロールが効かないし、咄嗟のアクシデントにも臨機応変に対応することが求められる。

こちらの雑誌のインタビューは、映画好きであり、映画に詳しい編集者とインタビュアーが集まるので、良い質問も多く、フランクな現場になることが常で仕事がしやすかった。

山本氏の受け答えもとことん真面目、誠実という感じで、役者という仕事を愛しているのが伝わって来た。

私もいくつか質問して、健康管理や体力作りのことを尋ねた記憶あり。

インタビュー終わり、あらかじめ室内に組んで置いたストロボ照明で一カット目の撮影。傘バン1発。

カメラはペンタックス67。レンズは90ミリの準標準レンズ。

フィルムはベリカラー160で自分で紙焼きする流れ。柔らかいレンズに柔らかいネガフィルムでねっとりとした表現を狙う。当時のお気に入りのセット。

本番前にポラロイド669を2枚撮影してから本番撮影。本番は2本くらい回したか?

アシスタントは無し。

山本氏のコミカルな面は世間に充分知られているので、この時感じた誠実さとストイックさを表せたらと、かなりシリアスな演出を意図した。

中でも数枚目に「玉座の王のように堂々と椅子にかけてください。目線もください。」

即座に意図を汲んでいただいたようで冒頭の使用カットとなる。

その後、ラブホテルやクラブのひしめく渋谷丸山町という地の利を生かし、夜の街をロケすることを提案。短時間の許可を得て街を歩きながら撮影。

機材は同じくペンタックス67に一部tri-x、一部ベリカラーを詰めてクリップオンストロボ1発でドキュメンタリータッチを狙うこととした。

料亭などでは一般の方と気楽に絡んだりと気さくで明るい面が出せたので、室内のシリアスなカットとの対比が上手く行っていると思う。

かなりガッシリとした筋肉質な印象があり、日本の俳優さんにあまりないタイプだと感じました。

プリントはモノクロ分も含め、自宅暗室でカラーペーパーにプリント、コダックC-41薬液でコダックポートラ印画紙に。

その後の東北大震災と東電福島第一原発事故後の、俳優から政治家への転身。山本氏の誠実な印象からすると妙に腑に落ちる部分があり、規格外なだけに時に危うさを感じる「れいわ新選組」の活動も手放しで応援している。

弱者を切り捨てることのない政治理念を持った山本氏のような人が日本の政治を主導することができれば、人間の社会も一歩ほどは進化したと言えるのではないかと思う。

異論のある方も多いかもしれないが、オープンな気持ちで山本氏の言葉を聞いてみてもらいたい。

日本では右翼の屈折した盛り上がりがあったり、左翼という言葉に生理的な嫌悪感を示す向きも多いようだが、世界的に見るとオキュパイ運動やスペインのポデモスなどの重要な動きが見られる。変にガラパゴス化すると戦前の日本に逆戻り。

老化するのではなく、成熟した国民になりたいものです。

掲載された写真の使用がサイズ、カット数ともに少なくてガッカリしたものですが、色々な事情でこういったことは度々起こりました。

写真自体良かったと思うし、山本氏にも貴重な時間を割いていただいた撮影なのでもう少しスペース取れたのでは?と思いますが、当時の紙媒体は予算も資源も限られていたので今のようなネットメディアとは良くも悪くも違いますよね。

ペンタックス67

今はどうかわからないのですが、

以前は使用するカメラが作風と写真家のアティチュードを表すという事実は確かにありました。
アティチュードを表現すると同時に、確かに仕上がりに直結していたんです。

商業写真の世界において6×7というフォーマットは、原盤サイズの大きさで画質に大きくメリットがありました。

画面の構成比が正方形すぎるとしても、十分なメリットがあったのです。
そして6×7版のシステムカメラといえばマミヤかペンタックスということになります。※1

同じフィルムフォーマットを持つこの2つのメーカーのコンセプトは、大きく異なります。

マミヤ67

マミヤの67といえばRZとRBがありますが、私の世代ではRZが当たり前でした。
フィルムバック交換式、120フィルムホルダー・220フィルムホルダー、インスタントフィルムもバック交換で使えました。
広告撮影ではカットごとにインスタントフィルムで「ポラ」を切って、クライアントやデザイナー、事務所や本人がチェックしてからテストロールを回してからの本番というのが当たり前の流れでしたから、このシステムはとても都合のいいものだったのです。

RZ67のポラロイドは縦横の区別がなく、後枠全面に露光されます。デザイナーやカメラマンはポラロイドにトリミングスケールをあてて使われるカットの比率を重ね合わせて仕上がりのイメージを想像したものです。
当然この場合はモデルさんの立ち位置なんかはバミっておいて、カメラは三脚に固定して撮影というスタイルになるわけです。背景のバランスなども決め込みます。
実際の本番はそれ以上のクオリティが欲しいわけですけれど。それはその現場しだいという事になります。

ベルーナファッションカタログ『Ryu Ryu』より

マミヤのレンズは総じてシャープで癖が無く、コントラストもはっきりしていて危なげの無い仕上がりでした。白飛びは要注意というところですか。
レンズシャッターですので、レンズ単体の価格は高額になります。

MAMIYA RZ67 180mm
Kodak EPL +1/2増感

ペンタックス67

ペンタックスはまずバック交換式ではないので、プロの撮影となると本体を複数使うのが当たり前です。
インスタントフィルムを使う場合もノーマルボディーを加工してボディーを一台使う他無く、コスト的にも微妙。
一台のボディーで一本撮影したらレンズを外してボディーをアシスタントと手渡しで交換、レンズを新しいボディーにつけて撮影している間にアシスタントがフィルム交換するというわけです。
手渡しするときに絞りやシャッタースピードがずれていると困ったことになるのでそこは要注意ですね。

広告向きでは無いんですが、絵作りが撮り手に任されている仕事の場合はポラを切る必要も無いわけなので、そんな時は220のフィルムを入れて置いてどんどん撮影することができました。
220ではフィルムの平面性がどうとか言われることもありましたが、困ったことはありませんでした。

あの独特のシャッター音と、やや諧調性に富むレンズがマミヤRZとは違う写真を撮らせてくれると思います。手持ちで撮ることが前提になっているようなデザインも構図の違いに貢献していると思います。

雑誌『KNACK』鈴木清純監督インタビューカット

映画監督の鈴木清純さんのインタビュー時のカットです。『ピストルオペラ』のプロモーションの時期でした。恵比寿のマンションのベランダで撮影しました。事前にロケハンや下見はしてなかったのですが、照明のバッグの中に黒布を忍ばせていたので、ベランダで黒バック自然光で撮らせていただく事にしました。

あまり撮影に時間をかけてはいけない方だと感じましたので、120フィルムの1ロールで完結するように撮影したのですが、10枚のうちの最初の1枚目と2枚目がベストカットで、流石と思ったものです。

こういったプロの方ですので、「ポラロイド無しの手持ち撮影で中判カメラで撮る」ということの意味を汲み取っていただけたのかな?と、今となっては思われます。

PENTAX 67 90mm f2.8
kodak portra400
ポートラペーパーに自家プリント

※1 後にフジのGX6×8がマイナーながら独自の地位を築きましたね。ですが、そもそも、以前はブローニーといえば645のセミ版か正方形のハッセルというのが相場なんですよね。ハッセルの場合は原盤から縦か横にトリミングされることがほとんどだったのではないでしょうか?

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その頃そこにあったもの達

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